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pianque's blog "blackstar"

北関東の某市で暮らすpianqueが日々感じたことをつづります。表題とかけ離れた記事が増えてきたのでタイトルを変えました。

自分自身の高齢化対策に、ゆっくり体を動かすことのすすめ

よく勘違いされていますが、健康はお医者さんに行っても得ることはできません。

病気の治療ならしてくれると思いますが、「自分が健康であるか」の判断基準は、実は自分の中にあります。

ずっと前に私が某病院で頭痛外来をやっていた時に、頭痛持ちの若い女性に「食事に注意し、生活のリズムを整え…」みたいなことを説明していたら、「そんな当たり前のこと言われなくたって分かっているんですけど」と言われてしまい…

ならやれよ(怒)

と心の中で…は決して思わず、患者指導の難しさを実感した次第でした。

時々整体師の知人と話をするのですが、共通の話題として、

「自分の体を全く把握していない人が多い」

というのがよく出てきます。

自分の体がよく分かっていないため、いざ少しでも調子を崩すとパニックになってしまって、医者にかかり、何でもありませんと言われても納得せず別の病院に行って…と彷徨っている人をよく見ます。

この間も、「色々風邪薬を飲んでいるんですけど、自分に合う風邪薬がなくって、もうどうしたらいいのか分からないんです」という私より年上の方が来られたのですが、熱を測ると35.9度。ちょっとでも熱があがるのが我慢できないみたいです。

「風邪をひいたら熱が上がるのが普通じゃボケ」

…というようなことを言うと大いにこじれる可能性があるため、素直に解熱剤を出しましたが、風邪は何も薬を使わなくても結果的に治るということを若い頃から経験しておかないと、こういう思考パターンの修正は難しいと考えています。

あと、「家族に言われたから来た」という人も最近多いですが、判断を他人に預けてしまっているというのは、たまにいいこともあるのですが、多くの場合あまりいいことはありません。

 

自分の体の不調に敏感すぎる人もなかなか大変ですが、「あまりにも鈍すぎる人」というのはさらに大変です。

「胸が痛かったんですけどそのうち治るかと思って…」と言って終了時間ギリギリに来た男性は、自然気胸で片肺が完全につぶれており、紹介先の病院で治療に随分手こずったようです。

1週間以上ほっておいた自然気胸の高校生も最近見ましたが、自然気胸は若い男性に多いので入院が必要な病気だと思わないのかもしれません。

「おとといから、急に肩がグーッと凝りだしてすごくつらくなって、孫を連れて遊んでいて肩がこったからだと思っていましたが、今日こそはと思って来ました」という女性。即心電図をとりましたが案の定心筋梗塞でした。

老人なのでしょうがないという話もありますが、老人でも適切に判断して来ることのできる人もいるので、やはり鈍いのではないかと思っています。

あと、糖尿病の人で、打っても叩いても響かないというか、糖尿病がかなり悪いのに治す気が全く感じられない人が時々いますが、これは少し別の話になるので詳細は省きます。

 

これは書いていいかどうか少し迷ったのですが、最近ネットで、「自分が熱中症だと思って直前までツイートしていた人が脳卒中で亡くなった」という記事を見ました。亡くなった方のツイートを見ると、単なる熱中症にしてはおかしい症状がいくつか出ており、あの人のツイートをリアルタイムで見て助言できなかったことを悔やんでいる医師は複数いるのではないかと思いましたが、ツイートに自分の症状を書いて不安が解消されてしまい、病院に行かなかったことで、治療が遅れたかもしれない可能性も考えています。

最近はネットで検索すれば病気の情報が色々出てきますが、知識はあっても身体感覚がそれについていっていない人が多いです。

病名や診断ではなく、「これは安全」「これはやばい」という、患者さんの自身の症状に対するゲシュタルト、あるいはそれを持っていなくても直観的におおむね適切な判断が出来るようになるということも大事だと考えています。

多くの医師はそれを否定すると思いますが、それは訴訟対策のためでもあります。

 

自分の体を観察できるようになると、けがや痛みを未然に防いだり、病気がないのに病院に行くということを減らせると思います。

漢方はうまく患者さんが使いこなせるレベルになると、自己観察の助けになるので、漢方にはそういう効果もあるのです。鍼灸も同様です。

しかし、漢方が飲めない、あるいは針は苦手、あるいは漢方を飲むだけでは自己を観察することができない、あるいはできるだけ薬を飲みたくない方は、ゆっくりした運動がおすすめです。

ランニングなどの有酸素運動はダイエットや心肺機能の強化によさそうなので、できる人はやってもいいと思いますが、必ずしも自分を観察する時間になりません。

イヤホンでポッドキャストを聴きながら走ったり、頭の中は仕事でいっぱいだったりでは、結局体と頭をばらばらに働かせているだけです。

ゆっくりした体の動きにできるだけ集中して、微細な感覚に心の耳をすませることを続けていると、体をどう動かしたら痛みが出にくくなるのか段々分かってきます。

他のことを考えながら何となくやっているとこの効果は出ないので、集中することが肝心です。

そのためには飽きないように、少し難しいものの方がよいでしょう。

私自身はヨガを始めていますが、ヨガが合わない方は、太極拳やゆっくりした深いストレッチなどでもいいと思います。

ヨガは体と心をつなぐもの(ヨガという言葉にはつなぐという意味があるそうです)であり、動と静のバランスをとることにより、精神的な落ち着きも得ることができます。

やっていて個人的に実感しているのは漢方でいう「上実下虚」が改善されるということで、更年期障害の人などにもいいはずです。

 

高齢化社会が間近にせまり、医療費を今後どのように賄っていくのかという問題は、まったくいい回答が見つからないというぐらい深刻な問題です。

そのため、一部に「年寄りは若者に譲るべき(今の医療水準では一つの病気にかかるコストがあまりに高額すぎる)。長寿がいいことという幻想を捨てて、健康「欲」を捨てるべきだ、と書いている人がいます。

しかしそういう合理的、かつある意味儒教道徳的なことを言っても、生きたいというのは人間の本能ですし、私も後期高齢者にさしかかった両親にまだ死んでほしくありません。

स्वरसवाही विदुषोऽपि तथारूढोऽभिनिवेशः॥९॥

(生への執着は好ましい感覚を伴うので、賢者の間にも頑強に根付いている)

そういう本能や欲求を、善悪の評価なしに「心の働き」の一つとして認識し、最終的に心を静止させて魂と切り離していくのがヨガ(のはずです)ですが、そういう哲学を知らなかったとしても、体の感覚として得ることができるものがあるはずで、それはおそらくヨガに限らず、太極拳や日本の武術などでも得ることができるのではないかと考えています。

 

ヨガの先生によれば、ヨガは簡単に言うと健康のためにやるものであるが、その健康には体の健康も、心の健康も、人間関係の健康も、すべて含まれるとのことです。

ヨガを極めるのはやはり難しいかもしれないとそれを聞いて私も思いましたが(笑)、じゃあ健康ってそもそも何なんだろう?と思われた方は、一度試しにやってみることをおすすめします。