pianque's blog "blackstar"

北関東の某市で暮らすpianqueが日々感じたことをつづります。表題とかけ離れた記事が増えてきたのでタイトルを変えました。

デパスは服用しない

先日、「患者には出すけど医者は飲まない薬」という記事が出て、ネットでも結構話題になっていました。

そもそも患者さんは病気だから病院にくるので、医師は健康か、病気があっても患者さんとは違う病気かもしれませんから、処方する薬のほとんどは自分では服用しません。

しかし、もし服用するような状態になっても服用したくないという意味で言うと、私も記事とほぼ同意見で、風邪薬のPL顆粒などは実は一度も服用したことがありません。

そもそも風邪の時に解熱鎮痛薬も使わず、漢方薬だけで乗り切っていることがほとんどですし、漢方が無効であればそれは肺炎などより重篤なことが起きている可能性があるため、精査が必要です。

風邪薬を処方するとしばしば「咳止めが出ていない」と患者さんに苦情を言われますが、そもそも必要ないと思います。咳止めがないと咳が治らないと思い込んでいる人が結構多いのでまあ仕方なく出してはいます。

(咳がひどくて止まらないのが長引く場合は、場合により咳止めではなく他の処方が必要です。)

インフルエンザはかかったことがないのですが、かかってもタミフルは使わないと思います。

軽い花粉症がありますがこれも漢方で十分です。

糖尿病薬も、もし自分が糖尿病になり、内服のみではコントロールが無理そうだと分かったら早めにインスリンに切り替えるでしょう。

認知症の薬は、将来自分が認知症になる頃にはもっといい薬ができていればと思います。

そういう事で「建前」と「本音」が違うというのはむしろ普通なのですが、こちらは基本的に知識がありますし、患者さんが感じる不安が少ない分、薬に頼らなくても大丈夫ということはあるかもしれません。

リスト以外でも、色々な人の処方内容を見ていると未だに抗生物質の誤用が非常に多く、私は個人的にはできるだけ処方しないようにしています。診療所レベルでは結構それで十分だったりします。

 

このリストの中でも「もし同じ状況になっても服用したくない薬」の筆頭は、精神安定剤デパスです。

自覚なく依存になっている人が結構多く、薬が切れるときちんと来院されますが、あたかも中毒のように見えます。整形外科や内科、耳鼻科などでも気軽に処方されるのですが、「睡眠薬より安心」という間違った認識で服用している人が結構います。

他の精神安定剤は一般の先生が使い慣れていないせいか、まだしも適応をきちんと守られていると思います。それでも日本はかなり使いすぎています。

デパスという薬は万能薬で、眠れるようになりますし、不安も抑えられます。血圧が下がったりめまいが改善することもあり、一時的に使う分には全く問題ありません。

問題は長期に使ってやめられなくなっている場合です。

本来、人間は喜怒哀楽があり、それは自然なことです。

韓国などは怒りは表出すべきものという認識のようで、日本人とは合わないかもしれませんが、言ってすっきりするというのは、本人の精神面だけを考えるといい場合もあります。

しかしデパスを長期に服用していると、「突然調子が悪くなりデパスを飲むとよくなるが、また調子が悪くなる」ということがよく起こります。

つまり不調が全然解決していないのです。

マイナス感情を全てデパスで解決していると、自分自身で解決する方法が分からなくなってきます。悲しい時にもデパス、イライラしている時にも怒った時にも、ドキドキした時にもデパス…では、前回の記事に書いた身体感覚を完全に鈍くしてしまうというだけでなく、表面的には穏やかで普通に暮らしていても、どこか平板で深みがない、そういうキャラクターになってしまう可能性があります。

神田橋條治先生が何故あそこまでデパスを悪く言うのかは実際に患者さんを見ていれば少し理解できます。

もっともそれはデパスが悪いというより、それに依存している人達のキャラクターがある特定の傾向を持っているということなのかもしれませんが。

普通のお医者さんもデパスがよくないと言うのは当然知っていますが、「どうせ依存性と習慣性が出るだけ」とたかをくくっている所があります。

薬剤添付文書には載っていませんが、特に高齢になった時にこのキャラクターの問題はより顕著に出ると考えています。

精神安定剤は服用しないに越したことはありません。

「お医者さんが処方した薬だから」とデパスをきちんと滞りなく飲むということは、処方したのが精神科医以外の場合は、しなくてもよいと考えてよいと思います…(と書くとフルボッコにされる可能性があるので、薬を減らしてよいかどうか主治医の先生とご相談ください)。

とはいえ、人は何かに依存しないと生きてはいけないということがあり、一時的に依存になるのは仕方がないという状況もあるでしょう。

本来は特定の物質などではなく、色々なものに依存していいと思うのですが、精神状態によってはその余裕もないかもしれません。

それでも一時的にとどめるべきです。

この話と関係ありませんが、先日ある方に漢方を処方したさい、すでに他の医師が処方していた漢方薬が少なくとも「今の症状」に合っていないので服用を「一時的に」やめて私が出す処方のみを服用するように言った所、もう一人の別の医師が「処方した先生に聞いた方がいいのでは」とその漢方薬をやめないように言ったとのことです。

漢方は種類によっては、同時に服用すると効果が落ちるものがあります。それを考えて服用を中止するように言ったのです。

そのもう一人の先生が考えていたのは「処方した先生の機嫌を損ねないように」であり、患者さんのことを考えて言ったのではないと思います。こういうことは結構まかり通っており、問題だとは思いますが、漢方なので軽く見られているのかもしれません。

私がそう言った先生に対しどう思ったのかは、あまり気にされてもいないようですが。

…とここで愚痴っても仕方ないのですが、漢方を処方するということは、西洋薬を処方するのと少し違う所があり、同じように考えてはいけないのです。